E・H・カー
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「E・H・カー」の書誌情報
- 項目名: E・H・カー
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- 更新日時: 2015年4月14日 01:23 (UTC)
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E・H・カー
エドワード・ハレット・カー(Edward Hallett Carr, 1892年6月28日 - 1982年11月3日)は、イギリスの歴史家、政治学者、外交官。
略歴・人物[編集]
ケンブリッジ大学を卒業後、1916年から1936年までイギリス外務省に勤務。退職後、ウェールズ大学アベリストウィス校(現在、英国立アベリストウィス大学)の国際関係論(国際政治学部)の学部長に就任。
第二次世界大戦中はイギリス情報省(Ministry of Information)の職員および『タイムス』紙の記者として活動。戦後は、その親ソ的な立場が災いし、一時的に英国の学界とは距離を置く。ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの研究員として学究生活に入った後は、もっぱらロシア革命史の研究(全14巻)をライフワークとする。
1939年に刊行した『危機の二十年』は、法律的・道義的アプローチが支配的であった国際関係論においてパワーの重要性を強調する現実主義(リアリズム)の立場を説いた本として知られる。しかし同時に、反リアリズム的主張もまた同書に存在しており、本書の多様な側面を指摘する研究者もいる[1]。 一方で、同書の影響力は、国際関係論における「カー=『危機の二十年』」と言う図式を生み出した。その結果、カーが戦間期から、大戦中、50年代にかけて執筆した国際関係論に関する書籍・論文・新聞記事・レビュー・Timesにおける記事には、あまり関心が持たれてこなかった[2]。
なお、『歴史とは何か』で彼が述べた「歴史とは現在と過去との対話である("An unending dialogue between the present and the past.")」というフレーズは、日本の戦後歴史学界でもよく知られ、引用頻度が高い。
著書[編集]
Dostoevsky (1821-1881): A New Biography, (G. Allen & Unwin, 1931).
中橋一夫・松村達雄訳『ドストエフスキー』(社会思想研究会出版部, 1952年 /改訳版 筑摩叢書, 1968年 復刊1985年)The Romantic Exiles: A Nineteenthcentury Portrait Gallery, (Beacon Press, 1933).
酒井只男訳『浪漫的亡命者たち』(筑摩書房, 1953年 / 筑摩叢書, 1970年、復刊1985年)Karl Marx: A Study in Fanaticism, (Dent, 1934)
石上良平訳『カール・マルクス』(未來社, 1956年、新装版1998年)Michael Bakunin, (Macmillan, 1937).
大沢正道訳『バクーニン』(上・下:現代思潮社, 1965年/現代思潮新社, 2013年)International Relations since the Peace Treaties, (Macmillan, 1937).
The Twenty Years' Crisis, 1919-1939: An Introduction to the Study of International Relations, (Macmillan, 1939, 2nd ed., 1946).
井上茂訳『危機の二十年――國際關係研究序説』(岩波書店, 1952年、復刊1992年/岩波文庫, 1996年)原彬久訳『危機の二十年――理想と現実』(岩波文庫, 2011年)Britain: A Study of Foreign Policy from the Versailles Treaty to the Outbreak of War, (Longmans, 1939).
原田禎正訳『イギリス最近の外交政策』(生活社, 1941年)Conditions of Peace, (Macmillan, 1942).
田中幸利訳『平和の條件』(研進社, 1946年/高橋甫訳、建民社, 1954年)Nationalism and After, (Macmillan, 1945).
大窪愿二訳『ナショナリズムの発展』(みすず書房, 1952年、1972年/新版2006年)The Soviet Impact on the Western World, (Macmillan, 1946).
喜多村浩訳『西歐を衝くソ連』(社会思想研究会出版部, 1951年)International Relations between the Two World Wars: 1919-1939, (Macmillan, 1947).
衛藤瀋吉・斉藤孝訳『両大戦間における国際関係史』(弘文堂, 1959年/清水弘文堂, 1983年)Studies in Revolution, (Macmillan, 1950).
音田正巳訳『革命の研究』(社会思想研究会出版部, 1952年)A History of Soviet Russia: The Bolshevik Revolution, 1917-1923, 3 vols., (Macmillan, 1950).
原田三郎・宇高基輔訳『ボリシェヴィキ革命――ソヴェト・ロシア史 1917-1923』(全3巻:みすず書房, 1967年)German-Soviet Relations between the Two World Wars: 1919-1939, (The Johns Hopkins Press, 1951).
富永幸生訳『独ソ関係史――世界革命とファシズム』(サイマル出版会, 1972年)The New Society, (Macmillan, 1951).
清水幾太郎訳『新しい社会』(岩波書店[岩波新書], 1953年/改版1963年、復刊1996年ほか)A History of Soviet Russia: The Interregnum, 1923-1924, (Macmillan, 1954).
A History of Soviet Russia: Socialism in One Country, 1924-1926, 3 vols., 4 pt., (Macmillan, 1958).
南塚信吾訳『一国社会主義――ソヴェト・ロシア史 1924-1926』(全2巻:みすず書房, 1974年/新装版, 1999年)What is History?, (Macmillan, 1961).
清水幾太郎訳『歴史とは何か』(岩波書店[岩波新書], 1962年)A History of Soviet Russia: Foundations of a Planned Economy: 1926-1929, 3 vols., 3 pt., (Macmillan, 1969).
1917: Before and After, (Macmillan, 1969).
南塚信吾訳『ロシア革命の考察』(みすず書房, 1969年、新装版1990年/同〈始まりの本〉, 2013年)The Russian Revolution: from Lenin to Stalin(1917-1929), (Macmillan, 1979).
塩川伸明訳『ロシア革命――レーニンからスターリンへ 1917-1929年』(岩波書店[岩波現代選書], 1979年/岩波現代文庫, 2000年)From Napoleon to Stalin and Other Essays, (Macmillan, 1980).
鈴木博信訳『ナポレオンからスターリンへ――現代史エッセイ集』(岩波書店[岩波現代選書], 1984年)The Twilight of Comintern 1930-1935, (Macmillan, 1982).
内田健二訳『コミンテルンの黄昏――1930-1935年』(岩波書店, 1986年)The Comintern and the Spanish Civil War, (Macmillan, 1984).
富田武訳『コミンテルンとスペイン内戦』(岩波書店, 1985年、新装版2010年)
伝記[編集]
ジョナサン・ハスラム 『誠実という悪徳――E・H・カー 1892-1982』(角田史幸、川口良、中島理暁訳、現代思潮新社、2007年)
関連項目[編集]
マックス・ウェーバー
ハンス・モーゲンソウ
アーネスト・メイ
ジョージ・ケナン
アイザック・ドイッチャー
渓内謙
国際関係論
ロシア文学
脚注[編集]
1.^ Michael Cox ed., E. H. Carr: A Critical Appraisal, (Palgrave, 2000). 所収論文を参照。
2.^ 山中仁美「E.H.カーと第二次世界大戦――国際関係観の推移をめぐる一考察」『国際関係学研究』28号(2001年)、遠藤誠治「『危機の20年』から国際秩序の再建へ――E.H.カーの国際政治理論の再検討」『思想』945号(2003年)
カテゴリ: 国際関係研究者
イギリスの歴史学者
ロシア史の歴史学者
歴史哲学者
ロシア革命
ロシア・ソ連の社会主義
アベリストウィス大学の教員
1892年生
1982年没