世界最終戦論
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世界最終戦論 (せかいさいしゅうせんろん) 世界最終戰論 | |
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著者 | 石原莞爾 |
発行日 | 1940年(昭和15年)9月10日 |
発行元 | 立命館出版部 |
ジャンル | 軍事・戦争・思想 |
国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
形態 | パンフレット |
ページ数 | 88項 |
公式サイト | NDLJP:1086334(再版) NDLJP:1460551(再版) NDLJP:1438614(訂正版) |
コード | ISBN 4-88636-063-7 ISBN 4-12-202017-4 ISBN 4-12-203898-7 ISBN 978-4-8295-0387-4 |
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『世界最終戦論』(せかいさいしゅうせんろん、世界最終戰論)は、大日本帝国陸軍の軍人である石原莞爾(いしわら かんじ)の代表的著書である。1940年(昭和15年)9月10日出版。『最終戦争論』(さいしゅうせんそうろん)とも呼ばれる。本書の題名は『世界最終戦論』または『最終戦争論』であり『世界最終戦争論』ではない。
概要
本書は1940年(昭和15年)5月に京都で行われた「人類の前史終わらんとす」の講演内容が元になっている。
立命館大学教授の田中直吉によって筆記され、9月に立命館出版部より88項の冊子として初版が発行された。
1942年(昭和17年)に立命館の初版の内容に加えて『「世界最終戦論」に関する質疑回答』、『戦争史大観』、『戦争史大観の由来期』を含めた著作として新正堂から出版された。
石原はヨーロッパ戦争史の研究と日蓮宗の教義解釈からこれを構想、日米決戦を前提として満蒙の領有を計画した。
その思想の原型は1929年(昭和4年)7月の中国の長春での「講話要領」にある。
関東軍参謀であった石原はこのイデオロギーに基づいて奉天郊外で柳条湖事件を起こし、これを中国軍のしわざとして軍事行動を開始したことが満州事変となった。
石原自身は戦後にはこの思想を捨てている。
内容
本書の構成は以下のようになっている。
- 第一章 戦争史の大観
- 欧米戦史の変遷と戦争の性質(持久戦争、決戦戦争)について書かれている。
- 第二章 最終戦争
- 最終戦争での戦闘の様子について書かれている。
- 第三章 世界の統一
- 最終戦争に臨む可能性の高い勢力4つと、その後どこが残るかについて書かれている。
- 第四章 昭和維新
- 最終戦争で東亜が勝つための条件が書かれている。
- 第五章 仏教の予言
- 最終戦争が起こるという理屈が日蓮の予言を下に書かれている。
戦闘隊形の発展
戦争は人間社会の諸力を総合的に活用しながら文明の発展とともに発展してきている。
その中でも戦闘隊形は顕著な進展を見せている。
古代における戦闘隊形は方陣であり、銃火器が導入されると横隊の隊形が開発された。
そしてフランス革命以後では高度な基本教練が求められる横隊から散兵隊形へと変化した。
第一次世界大戦では砲兵火力が著しく増大したために縦深防御が研究されてその火力の威力を軽減できるように工夫がなされた。
つまり古代から第一次世界大戦までの戦闘隊形の歴史を概観すれば、点としての方陣、線としての横隊、面としての散兵や縦深の隊形が出現した。
航空機の発明を考えれば将来戦争は戦闘空間は三次元となり、戦闘隊形は体へと発展すると予想する。
戦争の進歩
石原はドイツ留学時にベルリン大学教授のハンス・デルブリュックの殲滅戦略と消耗戦略の類型化を学び、戦争を決戦戦争と持久戦争に分類した。
決戦戦争では武力の重要性が高く、その経過は活発かつ男性的であり、期間は短期となる。
一方で持久戦争では武力以外の手段が他の手段に対して相対化され、戦争は静的で女性的なものになり、その期間は長期戦となる。
古代の戦争では決戦戦争が遂行されていたが、フリードリヒ大王は巧みな戦略・戦術で持久戦争を実践した。
しかしフランス革命でナポレオンが敵の主力部隊を撃滅することを目標として軍事行動を行う殲滅戦略を行うと決戦戦争が台頭するようになる。
そして再び機関銃によって防御戦闘の技術的優位性が圧倒的に高まったせいで第一次世界大戦は持久戦争へと回帰した。
この決戦戦争と持久戦争の交代の変化を考えれば次の将来戦争は決戦戦争の形態に移行すると考えられる。
最終戦争
最終戦争では航空機や大量破壊兵器によって殲滅戦略が実施され極めて短期間のうちに戦争は終結することになる。
このような最終戦争を戦う国としてはブロック化したいくつかの勢力を列挙することができる。
つまり世界はヨーロッパ、ソビエト連邦、東亜、南北アメリカの連合国家へと発展し、つまり日本の天皇を盟主とする東亜と、ヒトラーを中心としたヨーロッパ対アメリカを中心とした南北アメリカと、中立のようだが南北アメリカ寄りのソ連の対立となる。
しかしヨーロッパは大国が密集しているため、うまくまとまることができない。
ソビエト連邦は全体主義でいかにも強そうに見えるが、ヨシフ・スターリンの死後は内部崩壊する。
そうなると、東亜連盟と、アメリカ合衆国の決戦となる。
その決勝戦(最終戦争)に勝った国を中心に世界はまとまることになる。
これは東洋の王道と西洋の覇道のどちらが世界統一において原理となるのかを決定する戦争となる。
最終戦争勃発の条件として石原は、
- 東亜諸民族の団結、即ち東亜連盟の結成。
- 米国が完全に西洋の中心たる位置を占むること。
- 決戦兵器が飛躍的に発達し、特に飛行機は無着陸にて容易に世界を一周し得ること。
の3つを挙げている。
評価
「世界新秩序」の予言は、欧州連合の結成やアメリカの経済圏拡大などを以って、一部は的中している。
石原莞爾の天皇観
天皇について石原は
とし、また『戦争史大観』では
我らの信仰に依れば、人類の思想信仰の統一は結局人類が日本国体の霊力に目醒めた時初めて達成せられる。更に端的に云えば、現人神(あらひとがみ)たる天皇の御存在が世界統一の霊力である。しかも世界人類をしてこの信仰に達せしむるには日本民族、日本国家の正しき行動なくしては空想に終る。
— 石原莞爾、(第三篇「戦争史大観の説明」第一章「緒論」第一節「戦争の絶滅」。青空文庫の『戦争史大観』への外部リンクを参照。
と述べている。
書誌情報
- 石原莞爾 述 『世界最終戰論』 東亜聯盟協会関西事務所 編、立命館出版部、1940年9月10日。NDLJP:1086334 NDLJP:1460551。
- 『『世界最終戰論』に就いて 石原莞爾将軍を囲む懇談会速記』 生産拡充研究会、1941年8月25日。NDLJP:1455777。
- 石原莞爾 『世界最終戰論』 新正堂、1942年4月8日。
- 石原莞爾 『最終戦争論』 経済往来社、1972年。
- 『石原莞爾全集』第1巻、全集刊行会編、石原莞爾全集刊行会、1976年。
- 『石原莞爾選集 3』 玉井礼一郎 編、たまいらぼ、1986年3月。
- 『石原莞爾選集』 玉井礼一郎 編、たまいらぼ、1993年9月。ISBN 4-88636-063-7。 - 1985-1986年刊行の合本複製版(全10巻)。
- 石原莞爾 『最終戦争論・戦争史大観』 中央公論社〈中公文庫〉、1993年7月。ISBN 4-12-202017-4。
- 石原莞爾 『最終戦争論』 松本健一 解説、中央公論新社〈中公文庫BIBLIO20世紀〉、2001年9月25日。ISBN 4-12-203898-7。
- 石原莞爾 『戦略論大系 10 石原莞爾』 中山隆志 編著・解題、芙蓉書房出版、2007年1月1日。ISBN 978-4-8295-0387-4。 - 「世界最終戦論」と「「世界最終戦論」に関する質疑回答」を収録。
関連文献
- 石原莞爾 『戦争史大観』 佐高信 解説、中央公論新社〈中公文庫BIBLIO20世紀〉、2002年4月25日。ISBN 978-4-12-204013-7。
- 藤本治毅 『石原莞爾』 時事通信社、1995年8月、新装版。ISBN 4-7887-9521-3。
関連項目
外部リンク
「世界最終戦論」の書誌情報
- 項目名: 世界最終戦論
- 著作者: ウィキペディアの執筆者
- 発行所: ウィキペディア日本語版
- 更新日時: 2014年7月21日 15:44 (UTC)
- 取得日時: 2015年6月23日 21:52 (UTC)
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